パピヨンは何歳から老犬?介護(認知症)や散歩、老後に気をつけること、最期にみせる行動や症状は?

老犬
2023/03/27

まるでショパンの「小犬のワルツ」に合わせて踊るかのように軽やかで可憐なパピヨン。平均寿命は14歳~16歳と言われ、長寿傾向にある犬種で、介護生活となるケースも珍しくありません。いつかは老いの時がやって来る。その日に備えて老犬について知っておきましょう。

パピヨンは何歳から老犬?

犬は何歳から老犬なのか、その年齢がはっきりと言えるわけではありません。

そこで犬の年齢を人間の年齢に換算し、仮に人間の60歳からをシニア期として犬の年齢を当てはめてみると、パピヨンの場合は9~10歳頃から老犬と考えることもできそうです。

ただし、60歳代でも若い人がいるように、犬にも個体差があるので、これはあくまでも目安程度にお考えください。

犬の年齢換算式 計算法 人の60歳前後に相当する小型犬の年齢
換算式① 犬の1歳を人の16歳、2歳を24歳とし、3歳以降、小型犬では1年につき5歳、中型犬では6歳、大型犬では7歳を加算する 9歳
換算式② 小型犬・中型犬の場合は2歳で人の24歳とし、3歳以降は1年につき4歳を加算。大型犬では1歳を人の12歳とし、2歳以降は1年につき7歳を加算する 11歳
換算式③ 小型犬では2歳になるまでの間の1年を人の12.5歳、中型犬では10.5歳、大型犬では9歳にあたるとする。3歳以降は犬種によって加算率が違う(*1)。パピヨンのデータがないため、他犬種の数字で代用。 10歳前後
換算式④ 16×ln(犬の年齢)+31=人の年齢(*2) 6歳

犬の年齢換算式には、これが絶対的に正しいというものはなく、どれもおおよそのものであり、結果にもばらつきが見られます。

その中にあって表の換算式④は2019年に発表された最新の計算法で、加齢に伴う人と犬のDNAメチル化パターン(エピジェネティック時計)に注目し、化学的に算出された計算式です。しかし、研究対象となったのはラブラドール・レトリーバーのみなので、小型犬にはあてはまらないようです。

【参照元】

(*1)BBC「Dog years: The calculator」https://www.bbc.com/news/magazine-22479412

(*2)Tina Wang,Jianzhu Ma, Andrew N. Hogan et al.「Quantitative translation of dog-to-human aging by conserved remodeling of epigenetic networks」(bioRxiv 829192; doi: https://doi.org/10.1101/829192https://www.biorxiv.org/content/10.1101/829192v1.full

パピヨンの寿命は何歳?最高齢は?

パピヨンの平均寿命は、14歳~16歳くらいと言われます。

東京大学の研究チームが行った日本の犬の平均寿命に関する調査(ペット霊園のデータを使用、2018年発表)では14.4歳となっており、マルチーズやシェットランド・シープドッグと同程度でした(*3

また、同じくペット霊園のデータ(2012年~2015年)を基に一般社団法人 東京都獣医師会霊園協会が1万3,516頭の亡くなった犬を調査した結果では、パピヨンにおける死亡時の平均的な年齢は13.9歳だったそうです(*4

どちらにしろ、より長く生きる犬もいれば、残念ながら短い生涯を終える犬もいることは言うまでもありません。

人間の場合、都道府県によって平均寿命に若干の差が見られますが、以前、アメリカで行われた犬の寿命に関する調査でも、東西または州によって少々差が見られました。

この例のように、寿命には食事や運動、病気、環境、気候、ストレス、国・地域などいろいろな要素が関係し、個体差があるため、平均寿命はあくまでも目安としてお考えください。

そうした中で、パピヨンは何歳くらいまで生きられるのか?と興味を抱く人もいることでしょう。前出の調査結果では、パピヨンにおける亡くなった時点の最高齢は23.0歳と記載されています(*3

世界を見ると、28歳まで生きたというパピヨンのSNSが存在しますが、確認は取れていません。

【参照元】

(*3)Inoue M, Kwan NCL, Sugiura K.「Estimating the life expectancy of companion dogs in Japan using pet cemetery data. 」J Vet Med Sci. 2018 Jul 18;80(7):1153-1158. doi: 10.1292/jvms.17-0384. Epub 2018 May 24. PMID: 29798968; PMCID: PMC6068313.  https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29798968/

(*4)一般社団法人 東京都獣医師会霊園協会「犬の寿命調査/家のワンちゃんどのくらい長生きするの? どのワンちゃんが長生きなの?」https://petreien-a.tokyo/dog/

パピヨンの老化・老衰の症状は?

犬が加齢するに伴い、次のようなサイン・症状が見られることがあります。ただし、これらの様子が見られても老化とは限らず、なんらかの病気が隠れている可能性もあることにはご留意ください。

パピヨンの老化のサイン・症状①【体の変化】

目・視力
  • 目が白くなる
  • 物にぶつかるなど視力の低下
  • 動くものに素早く反応できない
耳・聴力
  • 聴力の低下
    耳を動かして音を拾おうとする、名前を呼んでも気づかない、来客や大きな音に反応しないなど
皮膚や被毛
  • 白髪が増える
  • 皮膚トラブルが起こりやすくなる
  • 皮膚に弾力がなく、フケが目立つ
  • 被毛が薄くなる、毛の伸びが悪い
  • 被毛や鼻の色が薄くなる
食事・食欲
  • 食欲の低下、食べ物に対する関心がなくなる
  • 逆に食欲が異常に増す、食べ物に執着する
  • ごはんをうまく食べられない、硬い物が食べられない
睡眠
  • 寝ていることが多い
  • 寝場所の好みが変わる
  • 寝ている時に起こすと反応が鈍い
  • 昼夜が逆転する、夜鳴きや徘徊をする
排尿・排便
  • 粗相をする
  • トイレの回数が減る、または増える
  • 尿や便の量が減る、または増える
  • 尿や便をしようとしてもなかなか出ない、便秘
  • 尿の色が濃くなる、便が細くなるなど色や形状に変化がある

体全体

  • 体力・筋力・意欲の低下
    後肢の間が狭くなる、あまり走らないなど
  • 病気にかかりやすくなる
  • 交配能力の低下

パピヨンの老化のサイン・症状②【行動や動作の変化】

行動・動作
  • 遊びが続かない、疲れやすく運動をしたがらない
  • 動作が鈍くなる
  • 立ち上がるのにもたつく
  • 階段や段差の上り下りが難しい、またはできない
  • 首や尻尾を下げてとぼとぼ歩く
  • 足先をずる、歩き方がおかしい
  • 体や脚がぷるぷる震える

パピヨンの老化のサイン・症状③【メンタル面の変化】

精神面
  • 表情が乏しくなる
  • 散歩や遊びに興味を示さなくなる、遊んでもすぐに飽きる
  • 他の犬や周囲の物事に関心を示さなくなる
  • 触られるのを嫌がる
  • 家族のそばにいたがるようになる
  • 逆に静かな場所や孤独を好むようになる

パピヨンの老衰の症状

「老化」と「老衰」は同じようなニュアンスでとらえられることがありますが、厳密には少々違いがあります。

「老化」は性成熟期を迎えた後に、体の様々な機能が少しずつ低下していくことを言います。

一方、「老衰」は読んで字のごとく衰弱する様を表しており、身体機能や栄養吸収機能、感覚機能はもちろん、精神面や、他者との相互作用といった社会的な面も含めて、全身の機能が衰えていくことを意味します。

つまり、老化と老衰の堺は曖昧ではありますが、老化の後期、または最終段階が老衰と言っていいでしょう。

そんな老化や老衰がなぜ起こるのか? 一つには、老いるにつれ、徐々に新しい細胞がつくられなくなること。もう一つには、蓄積された活性酸素によって細胞がダメージを受けても、その修復や再生ができなくなること。さらには、老化した細胞は周囲の細胞の老化をも進めてしまうことが老いの原因と考えられています。

やがては全身の慢性的な炎症が起こり、いろいろな機能が低下してしまうのです。そうして老化が進み、老衰の状態になると、主に次のような様子が見られるようになってきます。

老化が進む
  • 身体機能や感覚がより低下する
  • 介助が必要になってくる
  • 認知症症状が出る


さらに老化が進む

  • 認知症の進行
  • 体のこわばり、寝たきりになる、介護が本格化する
  • 食事量の低下
  • 食べ物や水をうまく飲み込めない
  • 食べてもうまく栄養収ができない
  • その結果、痩せ細る
  • 食事を受け付けない
  • やがて死に至る

パピヨンが老犬になった際の食事やトイレ、散歩、シャンプー(トリミング)は?

パピヨンの老犬【食事(ご飯)】

食事の基本

老犬になると消化吸収能力が低下し、加えて誤嚥(ごえん)のリスクも高まるので、軟らかく、飲み込みやすくて消化の良いものを与えたいものです。

消化管への負担を軽減するには1回の食事の量を少なめにし、代わりに回数を1~2回程度増やすといいでしょう。

老犬には抗酸化作用のある食品や、認知症予防のためのDHA・EPA、関節に良いサプリメントなどもおすすめです。

食べさせ方

なお、首や脚への負担を軽減するために、食器は台の上に乗せるなど犬が食べやすい高さに調節しましょう。前脚の踏ん張りがきかず、脚が滑ってしまうことでご飯を食べたくても食べられないケースもあるので、床には滑り止めマットを敷くことをおすすめします。

自力で食事ができなくなった老犬にはスプーンやシリンジなどを使用して食べさせてあげる必要がありますが、その際の注意点は、誤嚥を防止するために犬の頭部を少し高くして与えること。

寝たきりの犬では頭の下にクッションや枕をあてがい、抱き抱えて与える場合は背中が上になる姿勢で与えるようにします。仰向けにして与えたり、首をぐっと伸ばして口先が上に向くような姿勢で与えてりするのは誤嚥(ごえん)しやすくなるため避けましょう。

パピヨンの老犬【トイレ・散歩】

トイレ

【トイレの場所】

老犬になると排尿排便を我慢しづらい上、トイレに行くまでの間に漏れてしまうなど、トイレの粗相をしやすくなるため、なるべくこまめにトイレに誘導する、可能であればトイレを1~2ヶ所増やすなどの配慮を。

【オムツ】

お漏らしが多いようであれば、そろそろオムツの使用を考え時です。

尻尾や太腿の周囲に緩みがあったり、オムツがずれたりすると尿や便が漏れやすくなります。サイズはぴったりのものを選ぶようにし、どうしても漏れてしまう場合は尿漏れパットや生理用ナプキンで隙間を補強する手もありますが、あまりごわごわになると犬も気にするので適度に工夫してください。

また、オムツがずれてしまう場合は、サスペンダーで固定するという手もあります。

なお、オムツは常時装着しているとかぶれることがあるため、トイレをしそうな時間帯のみ装着するのも一つの方法です。

【寝たきりの犬】

寝たきりの犬で、かつもぞもぞ動かない犬では、むしろお尻の下にトイレシートを敷いておくほうがケアしやすい場合があります。

【自力で排泄できない犬】

また、排尿・排便が自力でできない犬の場合は尿を絞ったり、浣腸や便を押し出したりする必要がありますが、そのやり方については動物病院で指導してもらってください。

散歩

【老犬にも適度な散歩・運動は必要】

老犬になってあまり動きたがらないからといって散歩や運動は必要ないというわけではありません。

筋肉は体を支え、動かすだけではなく、血液循環や骨の密度にも関わるので、筋肉を維持することはとても大事となります。

【歩行に支障のない老犬】

まだ元気な老犬では散歩の距離を短くし、代わりに1回程度回数を増やすなどして体への負担を軽減するといいでしょう。

散歩の前には軽く体を動かす、「スワレ」「タテ」を数回繰り返すなど、軽くウォーミングアップをするのが理想的です。階段(奥行があり、段差が低いもの)をゆっくり上り下りしたり、坂道をじぐざぐに上り下りしたりするのも運動になりますが、すでに関節を傷めている犬の場合は動物病院でご相談ください。

【介助が必要な老犬】

歩行に介助が必要な犬でも歩行補助グッズや車椅子、カートなどを使用し、庭や家の周囲を歩くだけでも心身に刺激を与えることができます。もちろん、無理は禁物です。

状況によっては車椅子を早期に導入することでリハビリとなり、完全とは言わないまでも歩く力が戻るケースもあるので、導入のタイミングについては動物病院で相談してみてください。

【寝たきりの老犬】

また、寝たきりの犬の場合は、筋肉が固まるのを防ぐために脚の屈伸運動やマッサージなどを行うといいでしょう。

パピヨンの老犬【シャンプー(トリミング)】

高齢になるほどシャンプーやトリミングは負担になるため、極力回数は少なくしたいものです。そのためには、お湯で濡らしたタオルで全身を拭くなど、日々のお手入れをこまめにして清潔を保つようにしましょう。

高齢犬や寝たきりの犬など、洗う必要がある場合は、水のいらないシャンプーを使う、または部分洗いがおすすめです。

寝たきりの犬ではシャワーをかけられるマットやすのこを利用することができますが、シャンプーやドライングはなるべく手早く済ませるようにしてください。

または、寝たきりの犬でお尻の周囲が汚れた時など、お尻の下にトイレシートを敷き、先の細いドレッシングボトルにぬるま湯を入れて、そっと洗い流す方法もあります。

パピヨンの老犬を介護する際のポイントと注意点は?

パピヨンの老犬の介護のポイント・注意点①【頑張り過ぎない】

老犬の介護生活は短い場合もあれば、長引く場合もあります。可愛い愛犬のこと、一生懸命になるのはわかりますが、介護が長引けば長引くほど飼い主さんにも疲労や負担が募ります。結果的に、飼い主さん自身を追い込んでしまうことも珍しくありません。

介護生活の中では、2日に1回でいいものは1日おきにするなど、時に良い意味で手抜きをすることも必要でしょう。昨今では老犬の一時預かりが可能な老犬ホームや動物病院などもあるので、飼い主さん自身をリフレッシュさせるためにそうしたサービスを利用するのも一つの選択肢です。飼い主さんが疲れてしまったら、愛犬のための十分なケアはできないのですから。

パピヨンの老犬の介護のポイント・注意点②【犬にとっても人にとっても楽な方法を】

愛犬のためと思ってみても、犬、飼い主さん、双方にとって負担やストレスが大きいようであると介護生活も行き詰まることでしょう。

たとえば、徘徊する愛犬にずっとつきあっているのは疲れもしますし、時間もとられます。

そんな時、一つには犬用のサークルケージやサークルフェンス、サークル状につないだお風呂マットの中で歩かせる方法があります。その他、歩行補助具の持ち手に紐やロープをつけ、その端を適当な高い場所にくくりつけてクルクル回って歩けるようにする、車椅子に乗せて円形に回れるように工夫するなどの方法を講じている飼い主さんもいます。

そうすれば、その間、台所仕事や掃除などができるでしょう。もちろん、頃合いを見て愛犬を補助具や車椅子から外してあげることは忘れませんように。

また、病院通いにしても、昨今は往診可能、または往診専門の動物病院があるので、病院が苦手な犬や、寝たきりで動かすのが難しい犬などには向いています。

「楽」は決してさぼるということではなく、介護生活を続けていく上でのコツでもあるのです。

パピヨンの老犬の介護のポイント・注意点③【老犬の状態は日々変わる、観察と工夫を】

老犬の状態はそれぞれであり、一つの介護グッズが他の犬にも合うとは限りません。

歩行補助グッズにしても胴を吊り上げたほうが楽な犬もいれば、後肢を吊り上げたほうが歩きやすい犬もいます。前肢がしっかりしている老犬ならば二輪タイプの車椅子が使えますが、前肢も弱っていると四輪タイプというように状況によって使えるものも違ってきます。

また、老犬の状態は日々変化するもの。昨日は使えたものが今日は使えないということも。ですから、時には愛犬の状態に合わせ、手づくりしたものがフィットすることは多々あります。

今の愛犬には何を補ってあげればいいのか。観察と工夫、それが必要になるのが介護生活です。

パピヨンが老犬になった場合、ペット保険は必要?

老犬になったからといってペット保険が必ず必要というわけではありませんが、ペット保険が助けになることはあります。

老犬になると持病があることが多いのに加え、癌や腎臓疾患、肝臓疾患など病気のリスクも高くなるため医療費もかかりがちになります。

その医療費を補助してくれるのがペット保険なわけですが、現在、老犬向けのペット保険はまだ稀であり、多くのペット保険では新規加入できる年齢を7歳まで、8歳まで、10歳まで、11歳まで、12歳までなど上限を設けています。

したがって、その年齢を過ぎてからは新規加入が難しくなるので、ペット保険の活用を考えるのであれば、なるべく若いうちに加入しておくほうが有利です。

現在では終身加入できるペット保険も多いので、いつかはやって来るシニア期に備えて早めにペット保険に加入しておくのもいいでしょう。

ただし、どんな病気でも補償されるというわけではないので、補償範囲はもちろん、掛け金や免責期間(保険契約の開始日から一定期間は補償とならない期間のこと)、免責金額(一定の金額に満たない医療費は補しないという意味)、継続加入できる年齢などをよく確認し、ペット保険各社を比較検討することをおすすめします。

パピヨンの老犬が最期に見せる行動や症状は?

犬が生涯を閉じる時の様子は様々で、最期はこうなると一概に言うことはできません。

老衰で逝くのか、何らかの病気があって亡くなるのかによっても違うでしょう。

心臓の鼓動が徐々に弱り、眠るように死を迎える犬もいれば、介助されながら歩いている途中で突然首がガクンと落ち、そのまま息絶える犬もいます。

高熱を出す犬、痙攣を起こす犬、喘ぐように苦しい呼吸の中で逝く犬、最期を悟ったかのように暗い物陰に隠れる犬、悲しげな遠吠えをして亡くなる犬、いろいろです。

ただ、食事も水も受け付けなくなり、目が乾いたように落ちくぼんで、意識が朦朧としている、または意識がないとなると逝く時は近いのかもしれません…。

ただし、何らかの病気があって、重態になっているのであれば、すぐに動物病院に連絡してください。

愛犬のパピヨン、後悔のないよう最期にしてあげられることは?

最期にしてあげられること【生前】

筆者は、「後悔のない死はない」と考えています。呼吸の止まった愛犬を目の前に、誰しも大なり小なり後悔の念を抱くことがあるのではないでしょうか。

そうした中で、寝たきりの愛犬を最後の想い出づくりにとドライブに連れて行く飼い主さんもいます。もちろん、愛犬の状態を見た上でのことですが。

また、持病があって食べられなかった好物をせめて最後にと食べさせる飼い主さんもいます。誰がその気持ちを否定できるでしょうか。

末期の癌を患い、余命が短いことを知って、病院嫌いの愛犬を思い、敢えて治療はしない選択肢をとる飼い主さんもいます。

そして、留守中、一人でいることが多かった愛犬のために、せめて最期は一緒にと仕事を休む飼い主さんも。

後に振り返って、愛犬のためにとしたことは、実は自分のためであったと気づくこともあるでしょう。

しかし、(愛犬に無理をさせない限り)それでもいいのかもしれません。後悔は、「何もしなかったこと」なのかもしれませんから。いえ、場合によっては何もしないことが愛犬のためになるということもあるのでしょう。

最期にしてあげられること【亡くなった後】

上記のようなことは生前でのことですが、愛犬が亡くなってからもできることはあります。その一つがエンゼルケアというもの。

エンゼルケアとは、旅立ちの前に遺体を綺麗にし、体液の漏れや腐敗を防ぎ、体を整えること。

以上、A・B・Cの手順はペット葬儀社や動物病院などによって順番が前後することがあるようなので、状況や飼い主さんのお気持ちのままに行うのがいいのではないでしょうか。

その他、旅立ちに持たせるものを用意する、祭壇をつくる、花で飾る、犬友だちにお世話になったお礼をするなども愛犬のためにできることだと思います。

パピヨンの老犬【まとめ】

犬の一生を15年としても、なんと短いのでしょう。愛犬の顔に白髪が出てくる頃、そう感じるのではないでしょうか。

もっと長く一緒にいたい。そう願うのであれば、健康寿命を意識した生活を心がけましょう。

愛犬に病気や老齢による不調が出て、そこで初めて「あの時、ああしておけば…」と思うことは意外にあるものです。日々のお手入れはもちろん、歯のケアはしていますか? 全身を触ってチェックしていますか? 散歩や運動はさせていますか? 健康診断は受けていますか? シニア期はそうしたものの積み重ねです。

そして、何よりも愛犬と一緒の時間を楽しむこと。どうぞ、少しでも穏やで健やかなシニア期をお迎えください。

*犬は命ある生き物であり、健康度や老化の進み具合、寿命などには個体差があります。

ドッグライター&犬もの文筆家 大塚 良重

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